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食品の海外輸出手続き、実はそれほど難しくない。ステップ・書類・よくある失敗を徹底解説

「食品の海外輸出は複雑そうで、どこから手をつければいいかわからない」——そう感じている食品メーカーの担当者は少なくありません。しかし実際に分解してみると、輸出の手続きは「決められた順番に進む作業リスト」であり、初めての方でも一つずつ確認しながら進められるプロセスです。

日本の農林水産物・食品の輸出額は2022年に初めて1兆4,000億円を超え、政府は2030年に5兆円という目標を掲げています。台湾向けは1,489億円(前年比+19.6%)、シンガポール向けは562億円(同+37.3%)と、両市場ともに高い成長率を示しています。日本食への需要は確実に拡大しています。

本記事では、食品輸出の全体像を整理し、台湾・シンガポールへの輸出を検討している食品メーカーが「何をすればいいか」を具体的にお伝えします。

まず全体像を把握する:輸出手続きは「2段階」で考える

食品輸出の手続きは、大きく「①日本側(輸出)」と「②相手国側(輸入)」の2段階で構成されています。多くの初心者が日本側の手続きだけを想定して動き出し、現地の規制でつまずくパターンが多いため、まず全体構造を理解することが重要です。

フェーズ主な手続き担当機関目安期間
①日本側(輸出)輸出申告・HSコード確認・衛生証明書取得・フォワーダー手配税関・農林水産省検疫所・商工会議所1〜2ヶ月
②相手国側(輸入)現地通関・食品衛生検査・繁体字/英語ラベル確認・輸入申告現地税関・食品安全機関(TFDA・SFA等)2〜4週間

この2段階を理解したうえで、以下のSTEP別の流れを確認してください。

STEP別:食品輸出の手続きの流れ

STEP 1|輸出先国の規制・要件を調査する(輸出3〜6ヶ月前)

最初にすべき最重要ステップです。「どんな食品が輸入できるか」「ラベルに何を書く必要があるか」「禁止成分はないか」を確認します。確認先は以下の2つが基本です。

  • ジェトロ(JETRO)の国・地域別規制情報:農林水産物・食品輸出のカントリーガイドが公開されており、台湾・シンガポールを含む主要国の規制情報を無料で確認できます
  • 農林水産省輸出支援プラットフォーム:品目別・国別の最新規制情報が定期更新されています

台湾の最新情報(2025年11月21日〜)

2025年11月21日より、台湾は日本産食品への輸入規制を全面撤廃しました。福島ほか5県産食品への放射性物質検査証明書・産地証明書の提出が不要となっています。以前の規制を前提に準備していた場合は再確認を。

STEP 2|HSコードを確認し、輸出申告の準備をする(2〜3ヶ月前)

HS(関税調和)コードとは、国際的に統一された商品分類番号で、輸出入手続きの基本となるものです。自社商品のHSコードを確認し、相手国での関税率・規制内容を事前に把握します。

HSコードは税関のウェブサイト(NACCS)や、ジェトロ・商工会議所への相談で確認できます。誤ったHSコードで申告すると通関に支障が生じるため、不明な場合は専門家への確認を推奨します。

STEP 3|必要書類を準備・取得する(1〜2ヶ月前)

食品輸出に必要な書類は商品・輸出先によって異なります。代表的な書類は下記の一覧を参照してください(後のセクションで詳しく解説します)。

特に衛生証明書・原産地証明書は発行機関(農林水産省検疫所・商工会議所等)への申請が必要で、取得まで時間がかかります。余裕を持って1〜2ヶ月前に着手してください。

STEP 4|現地語ラベルを制作する(1〜2ヶ月前)

台湾向けは繁体字、シンガポール向けは英語のラベルが必要です。ラベルは国ごとに異なる表示義務項目があり、既存の日本語ラベルを翻訳するだけでは不十分です。現地の食品表示規制に準拠した専用ラベルを設計してください。

STEP 5|フォワーダーを選び、輸送手配をする(1ヶ月前)

フォワーダーとは、通関手続きや国際輸送の手配を代行する専門業者です。食品の輸出経験があり、台湾・シンガポール向けに実績のある業者を選ぶと、手続きがスムーズです。コールドチェーン(温度管理)が必要な商品の場合は、対応可否を事前に確認してください。

STEP 6|税関に輸出申告をする(出荷時)

フォワーダーと連携し、NACCS(通関情報処理システム)を通じて税関に輸出申告を行います。多くの場合フォワーダーが代行するため、輸出者は必要書類をそろえることが主な役割です。

STEP 7|現地到着後、輸入者が現地通関を行う(到着後)

商品が相手国に到着したら、現地の輸入業者(代理店)が輸入申告・食品衛生検査・ラベル確認を経て通関手続きを進めます。台湾ではTFDA、シンガポールではSFAの管轄下で審査が行われます。

食品輸出に必要な書類一覧

書類は「輸出者が準備するもの」と「外部機関に申請して取得するもの」に分かれます。

書類名用途発行・作成主体必要性
インボイス(商業送り状)商品の価格・数量・取引条件の証明輸出者が作成必須
パッキングリスト梱包内容の明細輸出者が作成必須
原産地証明書日本製であることの証明商工会議所または税関に申請(発行まで数日〜1週間程度)多くの場合必要
衛生証明書(健康証明書)食品の衛生基準適合を証明。輸入国政府が要求農林水産省検疫所・都道府県に申請(1〜3週間程度)品目・輸出先による
成分分析表原材料・添加物・アレルゲンの詳細製造業者が用意。第三者機関の分析書が望ましい多くの場合必要
現地語ラベル(繁体字/英語)輸入国の表示規制に合わせたラベル輸出者または現地輸入者が制作必須
船荷証券または航空貨物運送状輸送契約の証明フォワーダー・船会社・航空会社が発行必須

台湾・シンガポールへの輸出で特に注意すべき規制

台湾向け食品輸出の注意点

  • 繁体字ラベルが必須:製品名・原材料(配合量順)・添加物・内容量・賞味期限・保存方法・原産地(都道府県単位)・輸入業者の台湾内企業名・住所・栄養成分表示8項目の記載が義務
  • 「健康」「health」等の表現は禁止:TFDAの健康食品認定なしにこれらの表現を使うと通関差し戻し
  • 豚由来成分含有食品は要注意:2025年10月のASF国内発生以降、審査がさらに厳格化
  • 2025年11月21日〜規制全面撤廃:福島ほか5県産食品の放射性物質検査証明書・産地証明書が不要に。大きなビジネスチャンス

シンガポール向け食品輸出の注意点

  • 英語ラベルが必須:品名・原材料・アレルゲン・賞味期限・輸入業者名などを英語で記載
  • Nutrition Information Panel(栄養成分表示パネル):一定規模以上の商品に記載義務
  • ハラール対応:イスラム系チャネル向けにはハラール認証が事実上必須。ハラール認証のない商品はこれらのチャネルでの販売が困難
  • SFAへの輸入者登録:現地輸入業者がSFA(シンガポール食品庁)に登録済みであることを確認

「書類の準備を誰かに相談したい」そんな時は

初回の食品輸出は、書類の種類・現地規制の把握・フォワーダーとのやりとりなど、慣れないことが一度に押し寄せます。有限会社東西食品は台湾・シンガポールの百貨店催事を20年以上手がけてきた経験から、繁体字ラベル要件の確認、現地輸入業者との連携、規制対応まで一貫してサポートしています。

「まず何から始めればいいか」という段階からでも、お気軽にご相談ください。

【無料相談はこちら】

食品輸出でよくある失敗と対策

失敗①:ラベルが現地規制に未対応で通関差し戻し

日本語ラベルを機械翻訳しただけで輸出し、繁体字の表記順序・必須項目の欠落・「健康」表現の使用などで通関差し戻しになるケース。対策:現地規制に精通したパートナーとラベル内容を事前レビューする。

失敗②:衛生証明書の取得を失念

「書類は出発前に揃えればいい」と後回しにし、農林水産省検疫所への申請を忘れたまま出荷直前になって気づくケース。衛生証明書の発行には1〜3週間かかります。対策:書類取得は輸出の1〜2ヶ月前に着手するルールを徹底する。

失敗③:豚由来成分の確認不足

「お菓子だから問題ない」と思い込んでいたが、ゼラチン・ラード・豚エキスが原材料に含まれており、台湾の税関で没収されるケース。対策:出展商品全品目の原材料を一覧化し、豚由来成分の有無を確認してから現地輸入業者と共有する。

失敗④:賞味期限の残存期間が短すぎる

輸入国によっては「賞味期限の3分の1以上が残っていること」などの最低残存期間要件があります。これを満たさずに通関し、受け取り拒否・廃棄処分になるケース。対策:輸出先の残存期間要件を事前に確認し、製造スケジュールを逆算する。

輸出が初めてでもできる「小さく始める」方法

輸出を検討していても「まずどこで試せばいいかわからない」という場合、台湾・シンガポールの百貨店催事への出展は有効な選択肢のひとつです。

百貨店催事では、現地消費者に直接商品を販売する機会が得られます。「実際に現地で何個売れるか」「どの商品がどの消費者層に受けるか」というデータが取れることで、その後のバイヤー商談・輸出本格化へのステップが格段に踏みやすくなります。

輸出手続きの全てを一から学んでからではなく、経験豊富なパートナーと組んで「まず1回試す」ことが、輸出への最短ルートです。

まとめ|食品輸出は「準備と現地パートナー」があれば進められる

食品輸出の手続きは複雑に見えますが、STEP別に分解すると「決められた順番に書類を準備し、正しいラベルを作り、フォワーダーと現地輸入業者に連携してもらう」というプロセスです。

特に台湾向けは2025年11月の規制全面撤廃により、これまでの証明書コストが不要になったことで参入障壁が下がっています。シンガポール向けは食料自給率10%未満の輸入依存国であり、日本食品への需要は旺盛です。

「複雑そう」と感じたら、まず現地に詳しいパートナーに相談することが、最も確実な第一歩です。

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