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【食品ブランド必見!】台湾で試すテストマーケティング戦略

日本産食品の輸出額は2024年に過去最高を更新し、台湾向けも堅調に伸長しています。

なかでも台湾市場は「日本ブランド=安心・高品質」という強いイメージが浸透し、地理的・文化的な近さもあって試売がしやすい環境が整っています。

本記事では台湾で食品テストマーケティングに挑戦する企業に向けて、市場特性の理解から具体的な手法、実行手順までを網羅的に解説します。

まずは市場参入の必然性を整理し、その後に8大手法と5ステップを順に掘り下げていきましょう。

台湾の食品市場でテストマーケティングを行うべき3つの理由

海外展開を見据える食品ブランドにとって、台湾市場は「試す場所」として理想的な環境です。
消費者の志向、物流の利便性、そして販路の多様性。
この3つが、他のアジア諸国に先駆けてテストマーケティングを実施する後押しとなっています。

ここでは、なぜ台湾がテストマーケティングに適しているのかを、解説していきます。

親日的な購買姿勢と日本ブランドへの高い信頼

台湾は世界有数の親日国です。
調査によれば、日本に対して好意的な感情を持つ人は80%を超えています。

その信頼感は購買行動にも表れており、日本ブランドの食品に対する安心感は非常に高いです。

  • 価格が他製品よりも1〜2割高くても選ばれる
  • 贈答用や日常品問わず「日本製」というだけで安心される

といった傾向が根強く見られます。

また、訪日経験のある台湾人が持ち帰った体験価値が購買の動機になるケースも少なくありません。

 日本で食べた味が忘れられず、現地でも探す。
そんな消費者心理がテストマーケティングにおける初動の追い風になります。

物流距離の短さとコールドチェーン網の成熟

テストマーケティングを行う際、輸送と保管のしやすさは実行可能性に大きく影響します。
台湾は日本から航空便で1〜2週間、海上便で2〜4週間日の輸送リードタイムで商品を届けられる距離感にあり、少量・短期間でもテストしやすい市場です。

さらに近年、台湾国内のコールドチェーン網が大幅に整備されました。

  • 常温/冷蔵/冷凍の温度帯別に選べる物流インフラ
  • 都市部から地方まで広がるチルド宅配ネットワーク

といった基盤が、鮮度が求められる食品でもテスト販売を可能にしています。
これにより、これまで越境販売が難しかった生菓子や冷蔵品の試験流通も現実味を帯びてきました。

オンライン・オフライン両面でテストしやすい販路の多様性

台湾は「リアルとデジタル」の消費体験がバランスよく根付いている市場です。
実店舗も盛況でありながら、ECやSNSによる購買も当たり前の習慣として定着しています。

  • 都市部ではコンビニ4大チェーンが冷蔵・冷凍品の流通に対応
  • ShopeeやMOMOといったローカルECモールの拡大
  • ライブコマースやインフルエンサーを活用した拡散導線

 こうした販路の選択肢が多いことで、テストマーケティングの設計も柔軟に組み立てられます。

購買データだけでなく、SNS上での反応や口コミといった“感情のフィードバック”まで拾える環境が整っていることも、見逃せないポイントです。

台湾向け食品テストマーケティング8大手法

台湾市場でのテストマーケティングは、多様な手法から自社に合ったアプローチを選ぶことができます。
ここでは8つの代表的な方法を紹介します。
商品特性、予算規模、検証したい内容に応じて使い分けることで、より精度の高い検証が可能になります。

期間限定ポップアップストア

まず試したいのが、ショッピングモールや駅ナカなど人通りの多い場所でのポップアップ出店です。
1週間単位で出店でき、試食と購買の反応をその場で観察できる利点があります。台湾では「試してから買う」という購買行動が一般的であるため、試食をフックに購買へつなげるモデルと非常に相性が良いです。
試食から購入までの転換率や、どの価格帯が受け入れられるかを短期間で把握できます。

百貨店催事

多くの手法がある中で、「まず試してみる場」として最も安心感があるのが百貨店催事です。
特に台湾の百貨店は、食品売場においても信頼性の高いチャネルとして定着しています。
日本ブランドとの親和性も高く、「日本のものだから」と手に取る購買行動が今も根強く残っています。

百貨店の出展メリットは、単なる販売機会にとどまりません。

  • 高所得層やギフト需要に直結する来店客層
  • 日本品質への信頼感がそのまま売上につながる売場空気
  • リアル接客によって、味・価格・見た目に関する反応を直接収集できる現場力

 こうした点からも、ブランド認知と実証データの取得を同時に叶えられる“ハイブリッド型のテスト環境”と言えます。

 一定の流通量や営業力がないと難しいと思われがちですが、実は個人経営の食品ブランドでも参入事例は増えてきています。

また、実績のある支援企業を介すことで、煩雑な交渉や物流、現地スタッフの手配も含めてトータルで任せることができます。
本記事の執筆元でもある東西食品では、これまでに200件以上の国内外百貨店出展を支援してきました。他の手法ももちろん有効ですが、
「味・価格・見せ方・接客」までワンパッケージで検証できるという意味では、百貨店催事に勝るテスト環境はありません。
はじめてのテストマーケティングだからこそ、確度の高い場でスタートする選択が、次の展開を大きく左右します。

量販店サンプリング

ファミリー層へのアプローチに向いているのが、量販店での週末サンプリングです。
スーパーや量販チェーンの店頭に試食ブースを設置し、その場で購入に繋げるスタイルです。

購買データをリアルタイムで取得できるほか、担当スタッフからの口頭ヒアリングで味やパッケージに関する意見も集めやすくなります。
交渉次第では比較的低コストで展開できる点も、小規模ブランドには嬉しいポイントです。

クラウドファンディング

オンラインを起点としたテストとして人気なのが、嘖嘖(ゼゼ)やPinkoiでのクラウドファンディング。
予約販売という形をとることで、実際に“お金を払うか”という熱量の高い反応を検証できます。さらに、コメント欄に寄せられる声がそのまま改善のヒントになることも多く、定性データとしても活用価値があります。
在庫リスクを抑えつつ市場の温度感を測るには最適な手段のひとつです。

ローカルEC

台湾で最も勢いのある販路のひとつが、ShopeeやLazadaといったローカルECモールです。
これらのプラットフォームでは、日本からの商品も「越境モード」で簡易的に出品できます。
倉庫を現地に持たなくてもテスト販売が可能なため、参入ハードルが比較的低いのが特徴です。

初期費用を抑えたい企業にとっては、広告費と出荷体制だけを整えることで、すぐに販売をスタートできます。
価格帯別の購買傾向や、レビューコメントの傾向から、現地消費者のニーズを把握する手がかりになります。

商品説明文やレビューの翻訳精度にも工夫が求められますが、デジタルデータを活かした即時改善が可能です。
販売数そのものより、反応の質を見るテストに向いています。

インフルエンサー試食会×SNS拡散

感情ベースの反応を可視化したい場合には、フード系インフルエンサーを起用した試食会がおすすめです。
台湾では、InstagramやFacebookにおけるKOL(Key Opinion Leader)の影響力が依然として強く、商品認知の拡散にもつながります。

試食会は少人数で構いません。
大切なのは「どんな感想がどんな言葉で語られるか」。
投稿の保存数やコメント数など、SNS上のエンゲージメント指標をKPIとして活用できます。

紹介された商品名で検索されるか、タグが伸びるか、といった間接的な反応も見逃せません。
バズよりも「好意的な共感」をどう得るかが鍵になります。

コラボカフェ/メニュー開発

既存ブランドとのタイアップという形で、カフェや飲食店とコラボレーションする手法も効果的です。
台湾には「期間限定メニュー」を楽しむ文化があり、海外ブランドとのコラボはメディア露出の対象にもなりやすいです。

たとえば、和菓子をアレンジしたパフェや、日本の調味料を使ったお弁当メニューなど。
実際の食体験として組み込むことで、消費者の記憶に残りやすくなります。飲食店との共同開発はローカライズの可能性も探る機会になります。
現地でどう味が受け入れられるか、五感を通じた検証が行えるのが魅力です。

会員制モニター配送+アンケート

購入ではなく“使用体験”を通じて深く意見を集めたいときは、モニター配送型のテストが適しています。
LINE公式アカウントやSNSでモニターを募集し、商品を配送。
その後、簡単なアンケートを送付して回収します。

この方法の良さは、初回購入から継続意向に至るまでの「感想の変化」が追える点にあります。

  • 初回体験の感想
  • 数日後にもう一度試してみた印象
  • 同封パンフレットの活用有無

といった設問を工夫すれば、LTV(顧客生涯価値)の初期判断材料にもなります。
アンケートはシンプルにして回答率を高めつつ、自由記述欄に本音が出るよう設計するのがポイントです。

テストマーケティングを成功へ導く5ステップ

テストマーケティングは「試して終わり」ではありません。
大切なのは、その結果をどう活かすかです。

ここでは、台湾でのテストマーケティングを成功に導くための5つのステップを解説します。
準備段階から実行、そして分析と次の意思決定まで。
すべてが連動して初めて、効果的なテストになります。

STEP1:商品適合性診断

まず必要なのは、現地市場に対して商品の“適合度”を客観的に評価することです。
台湾では、香辛料の使い方や甘みの強さ、色彩感覚に対する好みが日本と異なる場合があります。

たとえば、パクチー(香菜)や八角などの風味は支持されやすく、逆に「濃すぎる甘さ」は敬遠されがちです。
こうした味覚傾向を踏まえ、試作段階で調整を施す必要があります。

また、中文ラベルの対応も早めに着手すべきポイントです。
「原材料名」「保存方法」「栄養成分表示」はすべて繁体字で記載が必要となり、表示違反は通関遅延の原因にもなります。

STEP2:ターゲットペルソナ設定と購入シーン細分化

次に重要なのは「誰が、いつ、どういう目的で買うのか」を明確に描くことです。
ターゲットがぼやけたままでは、手法もKPIもぶれてしまいます。

たとえば「春節前に贈答用として購入する40代女性」や「平日コンビニで新商品を試す大学生」など。
台湾特有の生活行動や文化的背景(例:中秋節の贈答習慣)を反映したペルソナ設計が、実際の反応精度を高めます。

想定シーンごとに商品写真やコピー表現も変えることで、よりその人に刺さるテストが可能になります。

STEP3:KPI&合否ラインの確定

テストには、目的に沿った明確なKPI(評価指標)が必要です。
売上だけではなく、試食後の購入率やSNSでのポジティブ投稿率など、複数の軸で判断できるようにしておきましょう。

具体的には以下のようなライン設定が一般的です。

  • ポップアップで1週間10万元以上の売上
  • 量販店での試食→購入転換率30%
  • クラウドファンディングで予約目標200%達成

数値を事前に定めることで、感覚ではなく“事実”をもとに意思決定できる体制が整います。

STEP4:実行体制とパートナー選定5基準

テストマーケティングを社内だけで完結させるのは現実的ではありません。
外部パートナーの選定が、結果を左右する重要な要素になります。

選定時には次の5つの基準を確認しましょう。

  • 現地の法規対応に強い(FDAやラベル規制への対応力)
  • 販路ネットワークがある(百貨店、EC、量販など)
  • データ分析に明るい(KPIレポートの可視化が可能)
  • PR・SNSと連携した販促が得意
  • 在庫や返品リスクをどう分担するか明確になっている

口頭の信頼だけでなく、契約書の確認と明文化を徹底することも忘れてはいけません。

STEP5:データ分析→社内稟議→本格参入判断フロー

テストが終わったら、すぐにデータを整理し、社内共有へ。
この「分析と判断」のステップが、全体の成否を左右します。

特に台湾の場合、祝祭日や販促タイミングに強い影響を受けるため、時期ごとの反応差も考慮しましょう。
社内稟議を通す際は、KPI達成状況だけでなく、定性コメントや現地スタッフの所感もあわせて提示します。

損益シミュレーションや在庫残数も添えることで、「次に何をどこまでやるか」の判断がしやすくなります。

台湾特有の食品規制と通関プロセス

台湾で食品を販売するには、現地ならではの規制や流通上のルールを正しく理解する必要があります。
特にテストマーケティングのように短期間・少量で実施する場合でも、輸入規制を軽視することはできません。

ここでは、台湾食品市場における代表的な法規制と、その流れを簡潔に整理しておきます。

食品添加物・残留農薬基準の概要

台湾では、日本とは異なる基準で食品添加物や農薬の使用量が定められています。
輸出前には、日本で合法な成分でも台湾では制限対象となっていないかを必ず確認しましょう。

特に注意が必要なのは、着色料・甘味料・酸化防止剤の3点。
厚生労働省だけでなく、台湾食品薬物管理署(TFDA)の基準に基づいた成分確認が求められます。

中文ラベル義務項目とフォーマット例

商品を販売する際は、中文(繁体字)による食品ラベルの貼付が義務付けられています。
表示が不足していたり、簡体字になっていた場合は、販売が停止されるリスクもあります。

主な記載項目は以下のとおりです。

  • 品名
  • 原材料名(すべてを記載)
  • アレルゲン情報
  • 内容量
  • 賞味期限(西暦表記)
  • 保存方法
  • 原産国
  • 輸入者情報(現地法人 or パートナー企業)

フォントサイズやレイアウトにも細かい決まりがあるため、現地経験のある業者と連携し、早めに準備を進めることが大切です。

輸入検査・通関・検体検査の流れと所要日数

台湾へ食品を持ち込むには、基本的に以下のステップを踏みます。

  1. 書類提出(インボイス、成分表、ラベル見本)
  2. 税関での通関審査
  3. 必要に応じて検体検査(約5〜10営業日)
  4. 通関後に納品先への配送

初回輸入では検査が入るケースが多く、予想以上に時間がかかることもあります。
百貨店催事などでスケジュールが決まっている場合は、最低でも2か月以上前には輸送準備を開始しておくことが推奨されます。

 テストマーケティングだからこそ、現地の専門パートナーと連携し、準備負担を最小限に抑えたいところです。

外食チェーン・量販店で求められるHACCP/ISO22000の有無

販売先によっては、商品に対して製造工程の認証書類を求められることがあります。
特に量販店や外食チェーンとの取引を想定している場合、HACCP(衛生管理基準)やISO22000(食品安全マネジメント)の取得有無は確認されるケースが多いです。

百貨店催事ではそこまで厳格な基準を求められることは少なく、まずは販路を選んだ上で、どこまでの書類準備が必要かを逆算するのが賢い進め方です。

消費者調査設計:味覚テスト&アンケートで「なぜ」を掘り下げる

テストマーケティングにおいて重要なのは、ただ「売れた/売れなかった」だけを評価軸にしないことです。
その理由を深堀りし、なぜ買われたのか/なぜ買われなかったのかという背景を拾い上げることで、本質的な改善が見えてきます。

台湾市場では、味・量・価格・見た目に対する感度が高く、リアクションも素直です。
それだけに、丁寧な消費者調査は非常に価値のあるデータ源になります。

試食会で外せない質問10項目

リアルな場で行う試食では、次のような質問を投げかけることで、購買の意思決定に近い感覚が見えてきます。

  • 味の第一印象
  • 量はちょうど良いと感じたか
  • 価格が〇〇元だった場合、購入するか
  • 他に似たような商品を知っているか
  • パッケージの印象はどうか
  • 誰に勧めたいと思うか
  • どのシーンで使いたいと感じたか
  • SNSでシェアしたいと思うか
  • もう一度買いたいか
  • その他気づいたこと

形式的な「良い・悪い」だけでなく、感情や生活シーンと結びつけて聞くことで、より深い理解につながります。

オンラインアンケート配信と回収率を上げるコツ

会場調査が難しい場合は、商品にQRコードを同封してオンラインアンケートへ誘導する手法も有効です。
LINEやSNSアカウントとの連携を活用すれば、継続的なリサーチにもつなげられます。

回答率を上げるには、次の3つがポイントです。

  • 所要時間は3分以内に収める
  • 選択式を中心に設計する
  • 謝礼やクーポンなどの小さなインセンティブを設定する

百貨店催事では、購入時にアンケート協力を案内することで、より商品体験に近い声を拾いやすくなります。

定性コメントのカテゴリ分析手法

集まった自由記述の声は、内容をグルーピングしていくことでパターンが見えてきます。
たとえば「味が濃い」「しょっぱい」「味が重い」といった声は、すべて「塩味が強すぎる」に分類されるといった具合です。

このようなカテゴリ分類は、改善ポイントを明確にし、次の施策へとつなげるうえで非常に重要な工程です。
テキストマイニングツールを使えば、主なキーワードの出現頻度も簡単に可視化できます。

台湾語翻訳とニュアンス保持のポイント

最後に注意したいのが、調査結果の「翻訳精度」です。
台湾では繁体字中国語が使用されますが、直訳だけではニュアンスが伝わらないケースも多く見られます。

たとえば「軽い味」は「薄味」と訳すとマイナスに響いてしまうことがあります。
翻訳時は、現地の語感や感情表現に慣れた翻訳者に依頼するか、ネイティブスタッフによるダブルチェックを入れるのが理想です。

実際、百貨店催事では接客スタッフがその場で感想を聞き取るケースも多いため、「伝わる言葉」での表現が結果に直結します。

販売チャネル別メリット・デメリット

テストマーケティングの手法を検討するうえで、どの販路を選ぶかは非常に重要な意思決定です。
販売チャネルによって接触できる客層が異なり、収集できるデータの性質も変わってきます。

この章では、代表的な5つの販路を比較し、それぞれの特徴を整理していきます。
自社の商材や検証目的に合わせた選定の参考にしてください。

百貨店

台湾市場で「日本ブランド」の価値を最大化できるのが、やはり百貨店です。
来店層は30代後半以上の女性を中心に、購買力のある顧客が多く、ギフトや自家用として丁寧に商品を選ぶ傾向があります。

百貨店で販売されているという事実そのものが、商品の信頼性や品質の証明にもなります。

  • ブランドの立ち上げ初期に「出展実績」として活用できる
  • 他販路へ展開する際の信頼づけになる
  • 販売データと接客の定性情報を同時に取得できる

といった点からも、戦略的な初期導入チャネルとして非常に有効です。

さらに、出展に際しては既存の販路網を使えるため、物流や販売体制を丸ごと外部に委ねることも可能です。
検証と実績づくりを同時に行いたい企業にとって、百貨店は「スタート地点として最適な選択肢」といえるでしょう。

量販店

ファミリー層や日常使いのニーズを想定する場合は、量販店が選択肢に入ります。
とくに週末は家族連れの来店が多く、一度に大きな母集団に商品を見せることができます。

また、競合商品と並べられた中での選ばれ方を見ることで、価格設定の検証にも適しています。
ただし、テスト導入のハードルはやや高めで、数量・納品体制・商品登録に関する要件を満たす必要があります。

初動でのスモールスタートには不向きですが、一定の予算や在庫量が用意できる企業であれば、有力な販路の一つです。

コンビニ

台湾のコンビニは、冷蔵・冷凍商品の流通網が非常に発達しており、スイーツや飲料、軽食系の即食商品にとっては魅力的な販路です。
少量サイズやワンコイン価格の商品との相性も良く、手に取りやすいパッケージ・味のチューニングが問われます。

ただし、スペースに限りがあるため、導入には実績や販売予測の提示が求められることが多く、販路開拓の難易度はやや高めです。
まずは他チャネルでのテストを経て、導入交渉に進むのが現実的です。

ECモール

ShopeeやMOMOといった台湾ECモールは、価格比較や検索行動が活発なプラットフォームです。
出品すれば、すぐに購入データが集まり、広告運用によるABテストや販売訴求の検証がしやすくなります。

ただし、ECモールでの購買は価格重視になりがちで、ブランディングよりもコストパフォーマンスを求める層が中心です。
そのため、高付加価値型の商品や初見での信頼が必要な商品にはやや不向きな傾向もあります。

価格・機能・デザインを簡潔に伝え、購入までをスムーズに誘導する設計が必要です。

自社EC

テスト後の定期購入やロイヤル顧客との関係構築を見据えるなら、自社ECの整備も重要です。
LINE公式アカウントやSNSと連動し、商品購入から情報配信・リピート促進までを一貫して管理できます。

とはいえ、テストマーケティング段階では「集客」が最大のハードルになります。
知名度や既存のファンが少ない場合は、他販路で接点を持ったうえで、自社ECへと誘導する導線づくりが必要です。

初期段階では単独の販路というよりも、データ蓄積と顧客理解のための「裏チャネル」として位置づけるのが現実的です。

物流・コールドチェーンの基礎知識

食品のテスト販売において、物流の整備は欠かせません。
特に台湾では、高温多湿な気候と距離の近さゆえに、スピードと品質を両立できる流通設計が求められます。

ここでは、台湾市場における物流の基本と、温度帯ごとの管理ポイントを整理します。

温度帯別リードタイムとコスト目安

台湾へは、空輸・船便いずれも対応可能です。
空輸の場合、東京から台北までは最短で翌日着。
食品の場合は空輸+冷蔵・冷凍配送の組み合わせが一般的です。

  • 常温(30℃前後):費用安価だが保存期間が短いものは不向き
  • 冷蔵(5℃前後):フレッシュ系商品に対応しやすいが配送単価が上がる
  • 冷凍(–18℃以下):賞味期限を延ばせるが、現地での解凍管理が必要

※台湾は夏日の期間が長く4月〜11月までは常温輸送で30℃を越えます

商品の特性に合わせて温度帯を選び、無理のないリードタイムと費用感のバランスを見極めることが大切です。

3PL/4PL活用のチェックポイント

輸送〜保管〜納品までを一括で任せる際には、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)や4PL(戦略的物流パートナー)の利用が一般的です。
台湾現地にも対応可能な日系/現地企業が存在します。

パートナーを選ぶ際は以下をチェックしましょう。

  • 食品物流の実績があるか
  • 冷蔵・冷凍の再配送や返品対応が可能か
  • 納品先(百貨店、量販店、EC倉庫)ごとの分配体制があるか

特に百貨店への納品は、タイムスケジュールや梱包仕様が厳密に決められている場合もあるため、経験のある物流業者の選定が成功の鍵になります。

逆物流(返品・回収)の設計

テストマーケティングでは、想定通りに売れなかった場合の「返品」や「在庫回収」への対応も重要です。
特に冷蔵・冷凍商品は、再販が難しいため、事前に返品条件を定めておく必要があります。

  • 不良品や販売期限切れの返品先
  • 輸送事故時の補償範囲
  • 現地在庫の廃棄判断と費用負担

こうした逆物流の対応が整っていないと、少量テストであっても思わぬ損失が生じることがあります。
物流契約時には「万一」のルールを必ず明文化しておきましょう。

台湾南北輸送と気候差を踏まえた保管対策

台湾は南北に長く、気候差があります。
台北では比較的過ごしやすい気温でも、南部の高雄や台南では30℃を超えることも珍しくありません。

同じ温度帯でも保管・配送の難易度が異なるため、納品エリアによっては冷蔵/冷凍の切り分けや二次配送体制が必要です。
また、台風シーズン(6〜10月)には流通遅延のリスクもあります。

出荷タイミングや納品先の分散、追加在庫の持ち方など、販売期間全体を見据えた物流設計が求められます。

リスクとリスクヘッジ

台湾でのテストマーケティングはチャレンジしやすい市場である一方、リスク管理を怠ると思わぬ損失や失注につながる可能性もあります。
とくに初動フェーズでは、突発的なトラブルに柔軟に対応できる体制が必要です。

ここでは、事前に想定しておくべき4つの代表的なリスクと、その対策ポイントを紹介します。

為替変動への価格調整シミュレーション

2020年代以降、日本円の変動幅は年々大きくなっています。
台湾ドルとの為替差も、短期間で利益率に影響を与えるほど大きく動くことがあります。

テスト販売の価格設定では、為替レートを固定せずに一定の幅を持たせた価格帯のシミュレーションを行いましょう。
出荷単価の調整が難しい場合は、現地販売価格に手数料を乗せる方式にするなど、あらかじめ利益確保の余地を確保しておくことが重要です。

パートナー依存リスクと契約書チェックリスト

現地での販売、物流、通関、プロモーションまでを委託する場合、委託先のトラブルが全体進行に直結します。
委託契約では、責任範囲と費用負担の所在を明確にしておくことが重要です。

特に以下の点は、あらかじめ契約書で明文化しておくことをおすすめします。

  • 販売不振時の返品条件と在庫責任
  • 広告効果が出なかった場合の対応方針
  • 不良品やクレーム発生時の顧客対応フロー
  • 売上データの共有頻度とフォーマット

百貨店出展のように、パートナーが豊富な実績を持つ場合は、こうしたリスクも最小限に抑えることができます。

法改正・規制強化へのモニタリング体制づくり

食品関連の法規制は、年単位で見れば着実にアップデートされています。
台湾でも、ラベル表示の義務化や健康食品表示の厳格化など、小規模ブランドにも影響を及ぼす改正が続いています。

常に最新の情報をキャッチするためには、

  • 現地パートナー経由で定期的なアップデートを受ける
  • 政府サイトや業界団体の情報をチェックする
  • 複数回テストを重ねる中でルールの変化を検知する

といった工夫が必要です。

特に中長期での展開を検討している場合、制度の変化を先読みする視点も求められます。

自然災害(台風シーズン)による物流遅延リスク

台湾は毎年6〜10月頃にかけて台風が多く発生します。
空港・港の閉鎖や道路の冠水などにより、輸送が数日止まるケースも珍しくありません。

このリスクは、特に販売タイミングが決まっている催事出展や期間限定プロモーションに大きな影響を与えます。
余裕を持った出荷スケジュールと、予備在庫の確保をルール化しておくことが重要です。

また、出展スケジュールの策定時には台風シーズンを避けることも、有効なリスク回避策となります。

まとめ

台湾でのテストマーケティングは、「はじめての海外市場」であるからこそ、失敗できない一歩でもあります。
本記事では、台湾特有の市場環境・手法・実行ステップ・リスク管理まで、網羅的に解説してきました。

さまざまな手法があるなかで、

  • 信頼性
  • 定性的データの取得
  • 物流や表示のハードルの低さ
  • 売上実績としての活用可能性

といった複数の視点から見ても、百貨店催事がもっとも再現性の高いテストマーケティング手段であることがわかります。

百貨店という安心感のあるフィールドで、まずは消費者の「生の声」を聞いてみる。
そこから商品や戦略を育てていくことで、次の展開もスムーズに進めやすくなります。

本記事を読んで「自社でも挑戦できそう」と思われた方は、ぜひお気軽にご相談ください。
200件以上の出展実績を持つ東西食品が、一気通貫でサポートいたします。

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