お役立ちコラム
台湾でビジネスをするなら知っておきたい商習慣と国民性。食品商社が現場で感じた成功のコツ
「日本だけで戦うのではなく、もっと広い世界で勝負したい」。
そんな想いから台湾に目を向ける食品メーカー様が、年々増えています。
台湾は親日で地理的にも近く、日本製品への信頼も厚い市場です。
海外展開の最初の一歩として選ばれることも多くあります。
ただ、「親日だから日本のやり方でいける」と思って進んだ結果、思わぬ壁にぶつかってしまうケースも、決して少なくありません。
この記事では、台湾の百貨店催事や展示会を支援してきた私たち東西食品が、現場で感じてきた商習慣や国民性、そして成功のコツをお伝えします。
これから台湾を目指す方の、最初の道しるべになればうれしく思います。
なぜ今、日本企業の海外展開で台湾が選ばれているのか
海外展開を考えるとき、最初の進出先として台湾の名前が挙がることはとても多いです。
なぜ台湾がこれほど選ばれるのか。
その理由を、3つの視点から整理してみます。
アジアでも群を抜く親日度と日本製品への信頼
台湾は、世界でも有数の親日的な地域として知られています。
日本の食文化への関心が高く、日本のお菓子や調味料、飲料などは現地でも広く親しまれています。
「日本のものなら安心」「日本の味は間違いない」。
そうした信頼が、すでに土壌としてできあがっているのです。
ゼロから自社の名前を知ってもらう必要がある国と比べると、このアドバンテージはとても大きいといえます。
実際に現地の催事に立つと、日本から来たというだけで足を止めてくださるお客様の多さに驚かされます。
飛行機3〜4時間、時差1時間という距離の近さ
台湾は、日本から飛行機でおよそ3〜4時間。
時差はわずか1時間です。
この近さは、ビジネスを進めるうえで想像以上に大きな意味を持ちます。
商談や催事のために現地へ足を運ぶハードルが低く、何かあったときにもすぐに動けます。
オンラインだけでは伝わりにくい温度感も、対面ならしっかり共有できます。
海外展開と聞くと身構えてしまう方も多いですが、台湾であれば国内出張に近い感覚で関われるのです。
テストマーケットとして最適な市場規模
台湾の人口は約2,300万人。
一人あたりのGDPは約33,000ドルと、購買力のある成熟した市場です。
規模としては大きすぎず小さすぎず、新しい商品を試すにはちょうどよいサイズだといえます。
ここで得た反応や売れ方のデータは、その後のアジア展開を考えるうえでも貴重な財産になります。
台湾で受け入れられた商品が、香港やシンガポールへと広がっていく。
そうした流れも決して珍しくありません。
台湾は、海外展開の入口であると同時に、次の一手を見極める試金石にもなる市場なのです。
知らないと損をする、台湾の商習慣と日本との違い
台湾は日本と似ている部分も多く、つい同じ感覚で進めてしまいがちです。
けれども商習慣には、はっきりとした違いがあります。
ここを知っているかどうかで、進め方は大きく変わってきます。
即断即決が当たり前のスピード文化
台湾のビジネスは、とにかくスピード感があります。
良いと思えばその場で前に進み、判断も早いのが特徴です。
日本では社内で何度も確認を重ね、結論が出るまでに時間をかけることが珍しくありません。
その感覚のまま対応していると、「返事が遅い」と受け取られ、商談の熱が冷めてしまうこともあります。
あらかじめ社内で方針を固めておき、その場で答えられる範囲を広げておくこと。
それだけで、現地でのやり取りはぐっとスムーズになります。
請求は前払いが基本、契約はシンプル
取引の条件面でも、日本とは違いがあります。
台湾では、前払いを基本とする取引が多く見られます。
契約書も、日本のように細かく条項を詰めるよりは、シンプルにまとめる傾向があります。
これは「細部を曖昧にしている」のではなく、お互いの信頼を前提に進めるという考え方の表れです。
支払いの条件や納期は、最初の段階ではっきり確認しておくこと。
そのうえで、決めたことを誠実に守っていく姿勢が、何よりの信用につながります。
信頼関係を時間をかけて築く
台湾のビジネスでは、人と人とのつながりがとても重視されます。
現地ではこうした関係性を「關係(グアンシー)」と呼びます。
一度きりの取引で終わらせるのではなく、長く付き合える相手かどうかを見られているのです。
判断は早い一方で、信頼そのものはじっくり育てていく。
そうした文化があります。
だからこそ、目先の数字だけを追うのではなく、相手を理解しようとする姿勢が大切になります。
一度信頼を得られれば、その後の展開は驚くほど力強く進んでいきます。
台湾の国民性と親日というブランド力の活かし方
商習慣とあわせて知っておきたいのが、台湾の人々の気質です。
国民性を理解しておくと、商品の伝え方やコミュニケーションの取り方が見えてきます。
商人気質でおおらか、新しいものを受け入れる柔軟さ
台湾の方々は、明るくおおらかで、人との距離を縮めるのが上手です。
商売に対しても前向きで、新しいものを面白がって受け入れる柔軟さがあります。
日本ではあまり知られていない商品でも、「珍しいから試してみたい」と手に取ってもらえることがよくあります。
催事の場でも、こちらが思っていた以上に積極的に話しかけてくださるお客様が多く、その反応の早さに励まされます。
新商品やニッチな商品を出していくうえで、こうした気質はとても心強い追い風になります。
日本進口というプレミアム感
台湾では、日本からの輸入品を「日本進口(日本輸入)」と表現します。
この言葉には、品質が高くて安心できる、というプレミアムな響きがあります。
日本から来た商品であること自体が、ひとつの価値として受け取られているのです。
パッケージに日本語が書かれているだけで、目を留めてもらえることも少なくありません。
この信頼は、日本の食品メーカーが長年かけて築いてきた財産です。
だからこそ、その期待に応えられる品質を守り続けることが、台湾市場では何よりも大切になります。
親日は同じやり方で通用する、という意味ではない
ここで、ひとつ気をつけたいことがあります。
親日であることは、日本のやり方がそのまま通用するという意味ではありません。
好まれる味の濃さや甘さ、選ばれやすい価格帯、人気の出る季節。
こうした感覚は、日本と台湾では少しずつ違います。
日本で売れているからという理由だけで持ち込んでも、現地の好みと噛み合わないことがあります。
親日という土台に甘えず、台湾のお客様に合わせて伝え方を調整していく。
その一手間が、成果を大きく左右します。
台湾ビジネスでつまずきやすい3つの落とし穴
ここまで台湾市場の魅力をお伝えしてきました。
一方で、実際に進出した企業がつまずきやすいポイントもあります。
あらかじめ知っておけば、避けられるものばかりです。
簡体字を使ってしまう文字の壁
台湾で使われているのは、繁体字です。
中国本土で使われる簡体字とは、文字の形が異なります。
パッケージや販促物にうっかり簡体字を使ってしまうと、現地のお客様に違和感を与えてしまいます。
場合によっては、信頼を損なうことにもつながりかねません。
台湾向けの表記は繁体字で用意する。
この基本を、最初の段階でしっかり押さえておきたいところです。
採用しても定着しにくい人材の流動性
現地で人を採用する場合、台湾は日本に比べて転職が活発であることを知っておく必要があります。
良い人材に長く働いてもらうには、日本と同じ感覚でいると難しい場面が出てきます。
現地のパートナーや商社とうまく連携しながら、人に頼りきりにならない体制をつくっておくこと。
それが、安定した展開を続けるための鍵になります。
価格設定とパートナー不在による失速
もうひとつ多いのが、価格設定でのつまずきです。
輸送費や関税、現地での流通コストを十分に見込まないまま価格を決めてしまうと、利益が残らなくなってしまいます。
また、現地の事情を相談できるパートナーがいないまま進めると、小さなトラブルでも対応に時間がかかります。
せっかく良いスタートを切っても、そこで勢いが止まってしまうのはもったいないことです。
価格は現地のコストまで含めて設計する。
そして、頼れるパートナーを早めに見つけておく。
この2つを意識するだけで、つまずきはかなり減らせます。
食品メーカーが台湾でビジネスを成功させるためにできること
それでは、食品メーカーが台湾で成果を出すためには、何から始めればよいのでしょうか。
私たちが現場で感じてきたことを、3つお伝えします。
百貨店催事や日本展という王道ルート
台湾には、日本の食品が活躍できる舞台がいくつもあります。
なかでも百貨店で開かれる催事や日本展は、台湾のお客様に直接商品を届けられる王道のルートです。
実際にお客様の反応を見ながら、味や価格、見せ方をその場で確かめられます。
いきなり大きな取引を狙うのではなく、まずはこうした場で手応えをつかむ。
その積み重ねが、確かな足がかりになっていきます。
台湾の百貨店での日本展については、別の記事でもくわしくご紹介しています。
商談で重視されるのは品質よりもストーリー
台湾の市場には、すでに数多くの日本商品が並んでいます。
そのなかで選ばれるためには、品質の高さだけでは少し物足りません。
その商品がどんな想いで作られたのか。
どんな産地や歴史を背負っているのか。
そうしたストーリーが、お客様の心を動かします。
現地のバイヤーも、語れる背景を持つ商品に強い関心を寄せてくれます。
自社の商品が持つ物語を、ていねいに言葉にしておくこと。
それが、海外での大きな武器になります。
商社や現地パートナーを使い倒す
海外展開のすべてを、自社だけで抱え込む必要はありません。
輸出の手続き、現地の販路、催事の運営。
こうした部分は、経験のある商社やパートナーの力を借りるのが近道です。
現地の事情を知る相手と組むことで、つまずきやすい落とし穴の多くは避けられます。
メーカー様は商品づくりという本業に集中し、海外の実務は信頼できる相手に任せる。
その役割分担が、無理のない海外展開につながります。
私たち東西食品も、そうしたパートナーのひとつとして、台湾でのスタートから定着までを支えてきました。
まとめ
台湾は、日本企業にとって最も挑戦しやすい海外市場のひとつです。
親日で距離も近く、日本製品への信頼も厚い。
海外展開の第一歩として、これほど心強い市場はそう多くありません。
一方で、「親日だから」「近いから」「似ているから」という理由だけで踏み込むと、商習慣の違いや人材の流動性、価格設定の難しさで思わぬ苦戦をすることもあります。
大切なのは、台湾という市場を一段深く理解し、現地のリアルに寄り添って商品の伝え方を組み立てていくことです。
私たち東西食品は、百貨店催事や展示会への出展を中心に、台湾市場でのスタートから定着までを伴走してきました。
「まずは話を聞いてみたい」。
そんなご相談だけでも、どうぞお気軽にお問い合わせください。