お役立ちコラム
台湾に持ち込み禁止の食品一覧|個人旅行から催事出展まで知っておくべき規制と対策【2026年最新版】
台湾への食品の持ち込みは、2026年3月現在、かつてないほど厳格な状況にあります。スーツケースに入れた肉まんが空港で発見され、高額な罰金を請求された——そんな事例は年々増加しており、特に2025年秋以降は摘発がさらに強化されました。
一方で、台湾の百貨店催事や食品輸出を検討している事業者にとっては、2025年11月の輸入規制全面撤廃という大きな追い風も生まれています。旅行者向けと事業者向けでは規制の内容も機会もまったく異なります。
本記事では、個人旅行者が今すぐ確認すべき禁止品目から、催事出展・輸出を考える食品メーカーが把握すべき商業規制と最新動向まで、目的別に整理してお伝えします。
台湾の食品持ち込み規制、なぜこれほど厳しいのか
台湾が食品の持ち込みに対して世界トップクラスの厳しさで臨む背景には、2つの大きな理由があります。
ひとつは、動植物の病害虫・感染症の国内侵入を防ぐための検疫制度です。台湾は島国であり、外来の病害虫や家畜の伝染病がひとたび侵入すれば農業・畜産業への被害は甚大になります。農業部(旧農委会)が管轄する動植物検疫制度は、この防衛線として機能しています。
もうひとつが、アフリカ豚熱(ASF)への対応です。2018年以降アジア各地でASFの感染が拡大し、台湾は以来、豚肉・豚由来原料を含むすべての食品に極めて厳しい規制を設けてきました。そして2025年10月、ついに台湾国内でもASFの発生が確認されたことで、規制はさらなる強化局面を迎えています。
違反した場合のペナルティ
「知らなかった」は通用しません。台湾の空港・港で規制品目が発見された場合、以下のペナルティが科されます。
| 違反の種類 | 主なペナルティ |
| 肉類・肉加工品の無申告持ち込み | 20万台湾元以上、最高100万台湾元(約500万円)の罰金。2025年10月のASF国内発生以降、検査・摘発が一層強化されている |
| 生鮮果物・植物の無申告持ち込み | 3,000元以上15,000元以下(約1.5万〜7.5万円)の罰金、商品の没収・廃棄処分 |
| 申告が必要な食品の未申告 | 商品の没収。軽微な場合は警告のみのケースもあるが、2025年10月以降は判断が厳格化 |
罰金は日本円で数万円〜数百万円に及ぶ可能性があります。「少量だから大丈夫」「真空パックだから問題ない」という判断は禁物です。
【個人旅行者向け】台湾に持ち込めない食品・注意が必要な食品
旅行の荷造り前に必ず確認してください。完全禁止品と条件付きOK品を明確に区別して整理します。
完全持ち込み禁止の食品
以下の食品は、パッケージの種類・量に関わらず一切の持ち込みが禁止されています。
| カテゴリ | 主な対象品目 | よくある誤解 |
| 肉類・肉加工品(全般) | ハム・ソーセージ・ベーコン・ジャーキー・チャーシュー・肉まん・レトルト肉類・機内食の肉料理の食べ残し | 真空パック・缶詰・少量でも一切不可 |
| 豚由来成分を含む加工食品 | 豚エキス入りカップ麺・ふりかけ・スナック菓子・カレールー・ラード使用食品・豚ゼラチンのグミ・ゼリー | 「お菓子だから大丈夫」は通用しない。原材料を必ず確認 |
| 生鮮果物(検疫対象品目) | リンゴ・梨・桃・すもも(モモシンクイガ防除対象)。機内食で提供された果物の持ち出しも不可 | ドライフルーツ・缶詰・ゼリー等の加工品は基本的に可 |
| 生乳・未殺菌乳製品 | 開封済みの牛乳パック・機内で飲み残した牛乳・未殺菌チーズ等 | 市販密封の殺菌済み乳製品は少量であれば持ち込み可 |
| 土付き植物・球根・生の種子 | 観葉植物の苗・球根類・土壌が付着した植物 | プランターごとの持ち込みは原則不可 |
特に見落としやすいのが「豚由来成分を含む加工食品」です。肉そのものでなくても、原材料に豚エキス・ポークエキス・ラード・豚ゼラチンが含まれる商品は規制対象です。日本でよく食べるカップ麺・ふりかけ・スナック菓子に広く使われているため、出発前に原材料表示を確認してください。
条件付きで持ち込める食品
| カテゴリ | 持ち込み条件 | 注意点 |
| 市販の密封加工食品(菓子類・乾物等) | 密封パッケージ済みであれば基本的に持ち込み可 | 豚由来成分・肉エキス含有の場合は要注意 |
| 水産加工品(乾物・缶詰・瓶詰め) | 密封・加工済みであれば基本的に持ち込み可 | 生・生乾きの魚介類は不可。迷う場合は申告を |
| 米・穀物類 | 5kg以内が目安(玄米は検疫対象になりやすい) | 精白米の方が無難。念のため申告推奨 |
| 市販密封の乳製品・卵製品 | 市販品・密封パッケージに限り少量は可 | 生卵・生乳・未殺菌品は不可 |
| 密封済みのドライフルーツ・果物加工品 | 商業加工品・密封済みであれば基本的に持ち込み可 | 生鮮果物と混同しないよう注意 |
よくある疑問Q&A
Q1. 真空パックにすれば肉類も持ち込めますか?
持ち込めません。パッケージの形態は規制の対象外となる理由にはなりません。肉類・肉加工品はあらゆる形態で全面禁止です。機内食の食べ残し肉料理も同様です。
Q2. 豚骨・鶏がらスープのカップ麺は持ち込めますか?
スープやかやくに豚エキス・ポークエキス・ラード・鶏エキスが含まれる場合は規制対象となりうります。シーフード系・昆布だし系のカップ麺であれば問題ないことが多いですが、原材料を必ず確認してください。判断に迷ったら持ち込まないのが安全です。
Q3. 日本の和菓子やお土産のお菓子は持ち込めますか?
動物性成分を含まないせんべい・クッキー・飴・チョコレート(乳成分のみ)などは問題ありません。ただし、豚ゼラチンを使ったグミ・ゼリー・マシュマロ、ラードを使った菓子類、肉系の具材を含むお菓子は持ち込み不可です。原材料表示で「ゼラチン(豚由来)」「ラード」がないかを確認してください。
Q4. 申告すれば持ち込めますか?
肉類・肉加工品については申告しても持ち込めません。申告すること自体は、没収のみで罰金を免れる可能性を高めるためのものであり、持ち込みを許可するものではありません。迷った品物は入国カードに「有(YES)」を記入し、税関スタッフの判断に委ねるのが最善です。
【事業者向け】催事出展・商業輸出での食品規制はさらに複雑
旅行者向けの持ち込みルールと、商業目的での食品輸出・催事出展は管轄機関もルールもまったく異なります。台湾の百貨店催事や食品輸出を検討されている方は、このセクションを特にご確認ください。
個人持ち込みと商業輸出では管轄が根本的に異なる
| 区分 | 個人旅行者の手荷物持ち込み | 商業輸出・催事出展 |
| 主な管轄機関 | 財政部関務署(税関)・農業部検疫局 | 衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)・財政部関務署 |
| 主な手続き | 入国カードへの申告記載 | 輸入者のTFDA登録・繁体字ラベル制作・衛生証明書・通関申告など |
| リードタイム | なし | 加工食品は通関含め1〜2ヶ月かかるケースも |
| 違反時のリスク | 罰金・没収 | 商品の通関差し戻し・廃棄・販売差止め |
台湾の食品表示規制:繁体字ラベルは絶対条件
台湾に食品を輸出・販売する際に最重要な規制のひとつが食品ラベルです。「食品安全衛生管理法」第22条により、すべての包装食品には以下の項目を中国語(繁体字)で表示することが義務付けられています。
- 製品名
- 原材料(配合量の多い順に記載。複合原料は下位原材料も開示)
- 食品添加物名
- 内容量
- 賞味期限または消費期限
- 保存方法
- 原産地(都道府県単位での記載が必要。「日本産」だけでは不可)
- 輸入業者の台湾内の企業名・住所・登録番号
- 栄養成分表示(熱量・タンパク質・脂肪・飽和脂肪・トランス脂肪・炭水化物・糖・ナトリウム)
繁体字でなければ通関不可
台湾では繁体字以外は認められず、一字でも簡体字が含まれると輸入通関時に差し戻しとなります。また、TFDAの健康食品認定を受けていない商品に「健康」「health」「ヘルシー」等の表現を使用することは2022年7月施行ルールで禁止されています。日本のラベルをそのまま翻訳するだけでは不十分です。台湾向け専用ラベルとして一から設計することが求められます。
百貨店催事での食品持ち込みはどう扱われるか
台湾の百貨店催事(日本物産展・フェア等)に出展する際の食品の扱いは、通常の輸出と基本的に同じ枠組みで処理されます。催事特有のポイントを整理します。
- 現地輸入業者との連携が前提:催事出展では多くの場合、台湾側の輸入業者(代理店)が通関・輸入手続きを担当します。輸入業者がTFDAに登録済みであることが出発前の確認事項です。
- 繁体字ラベルの事前準備が必須:催事会場での販売には繁体字ラベルが必要です。現地貼付けが可能なケースもありますが、ラベルの内容はTFDA要件を事前に満たした形で設計されている必要があります。
- 通関リードタイムの逆算:TFDA による抽出検査が実施された場合、通関手続き含め引き取りまで1〜2ヶ月かかるケースがあります。催事開催日から逆算した出荷スケジュールの設計が成功の前提条件です。
- 豚由来成分を含む商品の事前確認:催事出展商品にも豚肉・豚由来原料に関する規制が適用されます。人気の和菓子・スナック類でも原材料によっては現地販売ができない場合があるため、出展前の確認が不可欠です。
台湾催事出展で規制対応に失敗しやすい3つのポイント
東西食品が20年以上にわたり台湾・シンガポールの百貨店催事に携わる中で、特に多く見られる失敗パターンをご紹介します。いずれも事前の準備と知識があれば防げるものです。
ポイント①:繁体字ラベルの制作を後回しにしてしまう
「ラベルは現地で何とかなる」と考えて出発し、税関でストップがかかるケースは少なくありません。繁体字ラベルは商品ごとに専用設計が必要であり、翻訳ミス・表記順序の誤りだけで通関が差し戻されます。ラベル制作は出荷の2〜3ヶ月前から着手するのが理想です。翻訳は機械翻訳に頼らず、台湾の食品表示規制に精通した専門家や現地パートナーと協力して進めることをお勧めします。
ポイント②:豚由来成分の確認が不十分
「お菓子だから大丈夫」という思い込みは禁物です。ゼラチン・ラード・豚エキスは菓子類・スープ類・調味料に広く使用されており、確認不足のまま持ち込もうとして没収されるケースが後を絶ちません。出展商品の原材料表示をすべて一覧化し、豚由来成分の有無を確認してから現地輸入業者と共有する手順を必ず踏んでください。
ポイント③:産地の表記を「日本産」だけで済ませてしまう
台湾は日本産食品の流通ラベルに都道府県単位の産地記載を義務付けています。「Made in Japan」「日本産」だけでは不十分で「〇〇県産」という表記が必要です。
なお、2025年11月21日以降、福島・茨城・栃木・群馬・千葉の旧規制5県産食品に課されていた放射性物質検査証明書と産地証明書の提出義務が撤廃されました。これらの県の食材を使用した商品を台湾向けに展開したい事業者にとって、これは大きなビジネスチャンスです。
台湾催事出展の規制対応、20年の実績でサポートします
有限会社東西食品は、台湾・シンガポールの主要百貨店催事において20年以上の実績を有しています。繁体字ラベルの要件確認から現地輸入業者との連携、豚由来成分チェック、催事当日のオペレーションまで、規制対応を含めた一貫サポートが強みです。
「どの商品が台湾に持ち込めるか」「ラベルは何を準備すればいいか」——まずはお気軽にご相談ください。
2025〜2026年 台湾の食品規制の最新動向
2026年3月時点での最新動向を整理します。
ASF国内発生とグリーンレーン廃止(2025年10月30日〜)
2025年10月、台湾国内でアフリカ豚熱(ASF)の発生が確認されました。これを受け、同年10月30日より検疫免除グリーンレーンが廃止され、すべての入国旅客の荷物がX線検査または開封検査の対象となっています。
旅行者への影響はもちろんですが、事業者の観点でも重要です。台湾国内でのASF発生により、豚由来原料を含む輸出食品への現地当局の審査がより慎重になることが予想されます。催事出展・商業輸出において豚由来成分を含む商品を扱う場合は、一層の事前確認が必要です。
日本産食品の輸入規制が全面撤廃(2025年11月21日〜)
一方、事業者に大きな追い風となる動きが同時に起きました。2025年11月21日、台湾は東日本大震災以降14年にわたって課してきた日本産食品への輸入規制を全面撤廃しました。
具体的には、福島・茨城・栃木・群馬・千葉の5県産食品への放射性物質検査証明書と、日本全都道府県産食品への産地証明書の提出が不要になりました。これまでこれらの手続きが台湾進出の障壁となっていた事業者にとって、今が参入を検討する好機と言えます。
「健康」表示禁止の継続(2022年7月施行)
TFDAの認定を受けた「健康食品」以外の商品に「健康」「health」「ヘルシー」等の表現を使用することは引き続き禁止されています。日本では日常的に使われるこれらの表現が含まれたラベルは通関時に問題となります。台湾向け専用ラベルでは必ず除外してください。
台湾へ食品を持ち込む・輸出する前のチェックリスト
個人旅行者向けチェックリスト(渡航前に確認)
- 肉類・肉加工品(ハム・ソーセージ・ジャーキー・チャーシュー・肉まん等)がスーツケースに入っていないか
- カップ麺・ふりかけ・スナック菓子の原材料に「豚エキス」「ポークエキス」「ラード」「豚ゼラチン」が含まれていないか
- 機内食として提供された果物・肉料理の食べ残しを持ち出していないか
- 生鮮果物(リンゴ・桃・梨・すもも等の検疫対象品目)が入っていないか
- 申告が必要なものがある場合、入国カードの「有(YES)」欄にチェックを入れたか
事業者(催事出展・商業輸出)向けチェックリスト
- 出展商品全品目の原材料に豚由来成分(豚エキス・ラード・豚肉・豚ゼラチン)が含まれていないかを確認したか
- 台湾向け繁体字ラベルに以下の必須項目が含まれているか
- 製品名/原材料(配合量順)/食品添加物/内容量/賞味期限/保存方法/原産地(都道府県単位)/輸入業者の台湾内企業名・住所/栄養成分表示8項目
- ラベルに「健康」「health」「ヘルシー」等の表現が含まれていないか
- 台湾側の輸入業者がTFDAに登録済みであることを確認したか
- 催事開催日から逆算し、少なくとも2〜3ヶ月前に輸出準備を開始しているか
- 水産食品の場合、2024年1月施行の新規制(施設認定・衛生証明書添付義務)を確認したか
まとめ|台湾の食品規制は「目的別・最新情報」での把握が鍵
台湾の食品規制は、旅行者と事業者とで管轄・ルール・リスクがまったく異なります。そして2025年後半に立て続けに起きた2つの変化——ASF国内発生による規制強化と、日本産食品の輸入規制全面撤廃——は、どちらも2026年現在の台湾ビジネスを理解するうえで欠かせない知識です。
旅行者にとっての最重要事項は、肉類と豚由来成分含有食品の全面禁止です。「真空パックだから」「少量だから」という甘い判断が、最高100万台湾元という高額な罰金につながりかねません。
事業者にとっては、繁体字ラベルへの対応・豚由来成分の事前確認・通関リードタイムの把握が出展・輸出成功の三本柱です。規制の詳細は年度ごとに変わることもありますので、台湾衛生福利部(TFDA)・農業部・ジェトロの公式情報を定期的にご確認ください